通常のプロペラ式の撹拌機では、プロペラは下向きの水流が発生する方向に回転しています。
このため、沈殿物がタンクの隅に押しやられて堆積したり、溶け残りが発生したりするなど、分散や溶解の撹拌で問題が発生します。
また、プロペラの回転方向を逆にすることで沈殿は解消しやすくなりますが、液面に乱れが発生しやすくなり、溶液の飛散や気体の混入などの別の問題が発生します。
泡立ちは、液面の波立ちや渦巻きにより溶液に気体が混入することで発生します。
この波立ちや渦巻きは、生産効率を上げるためにプロペラの回転数を上げたりプロペラのサイズを大きくしたりすると発生しやすく、長時間の撹拌や泡立ちやすい溶液の撹拌で問題となります。
なお、邪魔板を使用することで波立ちや渦巻きを防止することが可能ですが、タンクの洗浄が煩雑になりやすい、邪魔板の下に沈降物が残りやすいなどの別の問題が発生します。
一般に、円板の円周にノコギリ状の歯がついた高粘度用の撹拌羽根は、溶液をせん断することで乳化や溶解促進をするための羽根であり、分散や沈降防止には向きません。
また、プロペラ式の撹拌羽根は、羽根の周囲しか溶液が動かず、上手に撹拌できません。